シグルドとブリュンヒルデ、その他諸々について語らせてくれ
「納得のいくまで語らなければならない」と私の何かが呟きました。
でも、私はただの文字書き。自cpのことしか書けません。しかもブログなんてほぼ書いたことないクソ素人もいいところです。「それでもやるしかないのだ」と言われてしまったからには、しがない字書きとしては書くしかないのです。
まずは、私がシグルドとブリュンヒルデに出会った時のことから語ろうかと思います。
それは私がFateシリーズを知り、はまり、英雄たちの原点を知ろうとしたときでした。
私はEXTRAシリーズから入った人間です。そこから色々と触れていきました。stay night、Zero、hollow ataraxia、Prototypeと来て、最後に辿り着いたのがApocryphaだったのです。
その中でも特にジークフリートが一番気になりました。
彼の格好が気になりました。
彼の容姿が気になりました。
彼の生き方が気になりました。
彼の想いが気になりました。
そしてなにより、彼の竜殺しという肩書きが、気になりました。
それは私が「竜(もとい龍)」のことを幼い頃から好きだったことも起因していたと思います。
かっこよくて、強い。
簡単な言葉ですが、そこには単純な強さがそこにはありました。そんな竜を彼は倒した。その事実を知った時、私は衝撃を受けました。あの竜を倒したのか、という畏怖にも似た衝撃だったと思います。
この事実を確かめねばならない、そう思いました。そして調べた先に行き着いたのがドイツの中世英雄叙事詩である『ニーベルンゲンの歌』。
私は己の目で、己の脳でジークフリート(ジーフリト)を知ろうとしたのです。
早速翻訳版(岩波書店出版の物を購入しました。訳者違いでちくま文庫版もあります)を購入し、読んだはいいものの、この叙事詩には竜退治の詳細な話は載っていません。
ハーゲン(ハゲネ、Apocryphaのアニメにも出てきていました)の伝聞のみで、しかも「邪竜を倒し、不死の肉体を手に入れた」と言ったような結果しか描かれていなかったのです。
私は大いに困惑しました。伝聞というものは不確かなものであります。この場合邪竜を倒したこと、不死の肉体を手に入れたことは真実ではありましたが、納得いきませんでした。
百聞は一見にしかず
私はどうしても(所詮物語であるため本当に自分で見ることはできませんが)自分の目で確かめたかった。
その時出会ったのが北欧の英雄伝説『ヴォルスンガ・サガ』であり、ジークフリートと似て非なる英雄・シグルドでした。そして、そんな英雄を愛する戦乙女・ブリュンヒルデとも出会うのです。
前置きが長くなりましたが、これが私と彼と彼女の出会いとなります。そしてあまり時間を置くことなく、ソーシャルゲームであるFate/Grand Orderが配信されることになります。
事前登録勢だったものの、数ヶ月程放置。それをとある影響で2016年に入ってすぐに再開し、数ヶ月経った頃でした。ブリュンヒルデが実装されることになったのです。
ブリュンヒルデがFGOに実装されると聞いた時、正直なところ「まじか」と思いました。
ジークフリートは実装されていましたが(初めてすぐぐらいにガチャで入手していました)、ブリュンヒルデまでも来てしまうのか、と戦々恐々としたのです。
ここは普通なら喜ぶところなのでしょうが、一概に喜ぶことができませんでした。
それもそのはず、『ニーベルンゲンの歌』でのジークフリートとブリュンヒルデは騙し・騙されという関係であり、二人が愛を誓うことなどないからです。
ですが、私という人間はなんとも単純で、容姿やcv(能登さんです)を見たら「めっちゃ可愛い……まじ好き」となっていたのです。
そして、待望のご対面がやってきました。
体験クエストもやり、運よく私のカルデアに迎え入れることができ、ボイスも聞きました。
驚きました。
宝具の「愛する者」特攻から始まり、マスターやジークフリート、果てはエミヤに対しての態度。めちゃくちゃ驚きました。
彼女から見て「英雄」の部類に収まるものは全て「愛する者」だったのです。
それもそのはずで、なんたって彼女は戦乙女。英雄が嫌いなはずありません。
それでも狂戦士のように「シグルド」と呟く彼女の姿を見ていると、ツラいものがありました。ジークフリートはシグルドではないからです。
バレンタインのチョコのお返しにこれを貰った時なんか
「ああ……私がシグルドになるか」
と、よく分からないものの、とんでもない惚気を食らった気分でした。それほどまでに彼女は彼のことを愛している、ということも感じれたのですが。
時は巡り、シグルドが実装されることなく2年以上経ったある日の朝。私はTwitterで衝撃の動画を見ることになります。
これです(私が見たものは15秒verでしたが、こちらの30秒verを載せておきます)
第二部第二章である「無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング 消えぬ炎の快男児」です。
そこには沢山の人物が出ている中、眼鏡をかけているとある男の姿があったのです。その男らしき人物と対面するブリュンヒルデの姿もありました。
私は瞬時に悟りました。
「シグルドだ」
口からはポロリとその一言が落ちていきました。私は無我夢中に何度も何度も動画を再生しました。そして、見る度にそれは確信に変わっていったのです。
オフィリアが率いていた戦乙女たちらしき者たちも加わり、「舞台はまさしく北欧神話である」という事実も突き付けてきました。
正直な話、「早く殺してくれ」と思いました。
今まで音沙汰が無かったシグルドが突然来たのです。心の準備もたったの十数時間しかありませんでした。あまりの現実に頭も心臓も痛くなり、その日はFGOのニコ生が始まるまで、何も手がつきませんでした。
「たぶん今日中に配信されるのではないか」
私はそんな面持ちでニコ生を開きました。そして、その時はやってきたのです。
それはとあるキャラの宝具動画でした。津田健次郎さんの声で紡がれる「グラム」という言葉を聞いた瞬間、私は
「魔剣グラムのことだ」
と理解しました。
動画が終わりすぐに表示された
「☆5 セイバー シグルド」
を私は一生忘れることはないでしょう。
ニコ生終了後やはりと言いますか、すぐに配信されたそれに私は挑みました。
神代が続いている北欧、100に区分され一定の周期で間引きされていく人間、燃えている山々などを見ていく中。私は、主人公たちに襲いかかってきたシグルドに対して思うところがありました。
彼は私の中では英雄そのものと言えるような人物でした。竜殺しを成し遂げた、英雄だったのです。
ですが、襲いかかってきた彼は別人のようでした。目の色は赤く、他者を蔑ろにし、とても野蛮だったのです。確かに彼は幼い頃は腕白もいいところでしたが(本当に色々とやらかしています。竜退治をしたのもそのことが原因でけしかけられたからです)、あまりにも目の当てられないものでした。
ですが私はやはり単純な人間で「なんでこんなにかっこいいんだよ……!」と嬉しさやら何やらがごちゃまぜな感情の涙を流しながら呟くことしかできなかったのです。
この違和感のようなものは進めていくうちに明らかになりました。眠らされていたブリュンヒルデと共に、シグルドと戦うことになった時です。
彼女は確かに彼を、シグルドに宝具を打ちました。でもそれが弾かれたのです。
「貴方は誰」
ブリュンヒルデははっきりとそう告げました。ブリュンヒルデはシグルドを殺す。これは必然です。その必然であることができなかった。ここで、こいつはシグルドではないと完全に理解できたのです。
シグルドではなくスルトが成り代わっていました。これには怒りしかありませんでした。シグルドはどうなるのだ、と思っていた矢先、本物が来て、その時の台詞がこちらになります。
「シグムンドとヒヨルディースの子。セイバークラスを以て異聞帯に限界せし者」
「真名シグルド。貴殿らの命を維持できて、嬉しく思う」
めちゃくちゃかっこいい~~~~~~!!!!!!
まず親の名から言うところがまじシグルドだし、口調は丁寧だし、しかも主人公たちを救っている!まさしく英雄であり騎士的な人で本当にかっこいいです。 私が好きなシグルドでした。
そしてここからは、怒涛のシグルドとブリュンヒルデタイムが始まります。
シグルドが本物に戻ってからというもの、要所要所で惚気、惚気、惚気の連続でした。
台詞を載せますが二人ともでは大量なのでシグルドのみ、それでも多いので抜粋させていただきます。
「ブリュンヒルデ。我が愛、我が永遠の断罪者。瞼を開けてくれ」
「かつても今も、当方はおまえの英雄たりえぬ男だな」
「おまえの美しさであれば仕方なき事。だが、皇帝よ。貴殿は彼女の愛を獲得できまい。既に、当方が得ている」
「付き合せたな、我が愛。ブリュンヒルデ」
「おまえの槍であれば、当方はいつでも受け止める準備はある。次に何処かで見える時には、迷わず当方を殺すがいい。それがおまえの愛の証明であれば―当方は生存し、尚且つ愛を証明してみせよう」
勝てるわけがないです。
パッと出の男といっても数百年以上あるほぼ公式cpみたいなものです。私とブリュンヒルデが過ごしてきた2年以上では勝てるわけがないです。
ですが、目の前でこんなに見せつけられても、嫉妬のようなものは一切出てきませんでした。何故かと言いますと、理由としてはただ一つ。
ブリュンヒルデが本当に嬉しそうなんです。
シグルドが出てきてからブリュンヒルデは沢山笑い、はにかみ、照れています。本当に嬉しそうに笑うんです。それはまるでただただ恋する少女のようでした。
あと、これはイラストの加減?なのか目元の加減?かは分からないのですが、シグルドを前にして笑う彼女はどこか泣いているように見えるのです。
ストーリーに絡んでくる際も、隣同士で出てくることが多く、本当に仲の良い、素敵な二人になっていました。
最後も愛の言葉を笑顔で交わし合い消えていくのですが、本当に幸せそうで、涙が止まりませんでした。
ここからは私なりの二人の話をさせていただきます。
1.二人の呼び方
ブリュンヒルデはシグルドを「貴方」と呼び、シグルドはブリュンヒルデのことを「おまえ」「我が愛」と呼びます。シグルドの「おまえ」といったような馴れ馴れしい呼び方はブリュンヒルデにしかしておらず、生前契った仲は違うなあと思い知らされます。
二人は、互いにわざわざ名前を呼ばなくてもいい関係に自然となっていたのかなと。
2.二人の愛
ブリュンヒルデはシグルドを殺し、シグルドはそれを真っ向から受け止める。これが二人にとっての愛なのだと思うと、物騒でもあり情熱的でもあり、炎のようだと感じました。
ここまで色々と話してきましたが、大切なものが残っています。
それは
愛
この物語の最大のテーマだったと思います。
誰かが必ず「愛」を唱えていました。
それはナポレオンであり、
オフェリアであり、
スカサハ=スカディであり、
ワルキューレたちであり、
ブリュンヒルデであり、
シグルドでした。
勿論、スルトにも愛はあったと私は思っています。
忘れ去られて消えていく存在でしかなかった彼をオフェリアだけが見つけ、そして自身を見つけてくれた彼女に彼は何かをしてあげたかった。
最後まで呼び続けていた「オフェリア」の名は、スルトなりの愛の言葉だったのではないでしょうか。名前を呼ぶことで愛を叫んでいたのかもしれません。
そう考えてみると、シグルドを乗っ取っていた時のスルトの行動が、途端に人間染みて見えてきます。
こうして見ると、ほんと愛の形というものは違うのだなと思い知らされます。
最後に。
私は、シグルドとブリュンヒルデの幸せというものをどこかで願っていたのかもしれない、と気付かされました。
『ヴォルスンガ・サガ』は、ずっとずっと昔に作られた話です。所詮物語であり、現実に起こったことでもありません。
日本では特に知っている人も少なく、書籍も1970年代に出たもの以降出ていない状態です。
どうしても『ニーベルンゲンの歌』やジークフリートの方が有名で、それと似ている存在として語られるのが関の山です。
私自身「シグルドは実装されないのでは」と何度も不安になり、諦めていました。
でもこうして何百年という時を超え、数々の国を超え、媒体すらも超えました。そして2018年、平成という年号が終わる最後の夏に、二人は再び巡り会えました。私は自身のことのように嬉しくてたまりません。
今まで積み重ねてきた様々な感情が入り乱れて、涙が止まりませんでした。
彼が彼女に話しかける度に、彼女が彼に話しかける度に。
そして、二人が笑いあう度に、私は「ああ、良かった」と涙を止めどなく流しながらそう思うのです。
本当に、最初から最後まで泣きっぱなしでした。
ここまで泣くのも久しぶりで、私自身驚いています。
もしかしたら、皆の分を肩代わりして泣いていたのかもしれません。そう思うと「泣くのも悪くないな」と思えるこの気持ちも、愛なのかもしれません。
長くなりましたが、これにて終わりとなります。
勢いのままで書いたものですが、書けたので満足しています。
第二部第二章は2018年7月18日22時30分に配信され、翌日の21時頃にはクリアすることができました。24時間経たずのクリアでした。
そして、見事今までのシナリオの中で一番好きなシナリオになりました。
本当に単純だなあと、自分のことながら呆れています。
まさかジークフリート(シグルドも)に関しての卒論を書くことになり、こうしてゲームという媒体で彼らと触れあえることになるとは、きっと数年前の私は信じることなどないのでしょう。